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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)87号 判決

被告人

尾藤太

外二名

主文

被告人尾藤太、堀政已の本件各控訴を棄却する。

原判決中被告人中田米藏に関する部分はこれを破棄する。

被告人中田米藏を懲役壱年に処する。

但し同被告人に対し本裁判確定の日より五年間右刑の執行を猶予する。

原審において生じた訴訟費用中証人鈴木均に支給した分は被告人中田米藏及び尾藤太、堀政已の連帶負担とする。

理由

被告人尾藤太の弁護人又平俊一郞の控訴趣意、被告人尾藤太、堀政已は弁護人上村千一郞の各控訴趣意、被告人中田米藏の弁護人富田博の控訴趣意は末尾添附の各控訴趣意書と題する書面記載の通りであるがこれに対し当裁判所は次の如く判断する。

(一)  被告人尾藤太、堀政已に対する弁護人又平俊一郞、上村千一郞各控訴趣意第一点について

原判決が被告人等に対する公訴犯罪事実を認定するに当り被害者中田太、鈴木均の公判期日における各証言を斥けて檢察官の面前における同人等の各供述記載を採用し、これを断罪の資料に供したことは所論の通りである、依つて檢するに右両名いづれも原審公判において前の檢察官の面前における供述とは全く実質的に異つた証言をしておることは記録上明らかに看取し得るところである、而して右公判における各供述はいづれも瞹眛であり殊に被告人等に対し各五千円出金したことについての根拠が薄弱であつて到底措信し難いものである、然るに檢察官の面前における各供述にはいづれもそのような点は毫もなくよく事理にかなつていて首肯に値するものであり他に記録を精査するもその眞実性並びに任意性を疑ふべき点は見当らない、從てこれを信用すべき特別の情況存するものと認めるに妨げないものである、されば右檢察官の面前における各供述を録取した調書はいづれも刑事訴訟法第三百二十一條第一項第二号後段所定の要件を具備するものといふべく、原審判決の趣旨またここに存するものと認められるので同判決が右の各供述記載を採証に供したのは正当であつて原判決には所論の如き違法はなく、この点に関する各論旨はいづれも理由がない。

以下省略

被告人中田米藏については、量刑不当により原判決破棄

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